早朝

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道とは言い難い道を歩き、時には崖の様な斜面も登る。 私と草子だけの近道。 草子と私だけが知っている。 幼少の頃は2人でこの道を使った。 だが、中3の夏頃になると草子は服がよごれるからと言う理由で使わなくなった。 「懐かしいけど、今はそんな場合じゃないわ。」 私は必死に山を登り、六地蔵の真上にでた。 「ハァハァハァ……。 ここ…昨日草子と場所…」 汗を拭き、六地蔵を見下ろす。 確か…あの辺に尻の像が…… ない!! 私は地蔵のそばに降りて尻の像を探す。 そこにあった痕跡はあるものの、尻の像は跡形もなく消え去っていた。 「尻蔵様が動いたって事!?」 私は辺りを見回し警戒する。 今のところ、尻蔵様がいる様な気配はない。 もしかすると上に…… 私は息を呑み、引き返したい気持ちを抑えながらも、頂上を目指して歩き出す。 「下には戻れない。 なら、上に進むしかないじゃない!」 頂上にはこの現象を止める手立てがあるかもしれない。 私は道とは言い難い道を必死に登る。 それほど高くない山だが、整備されていない山道は過酷で、時には足を滑らせたり、道を見失いかけもした。 だが、運良くその都度なんかしらのアクションがあり、山頂付近までたどり着く事が出来た。
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