早朝

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神社の中は、お祓い道具の様なものと、小さな仏像。 そして、祈祷をあげていたのか囲炉裏の様なところに炎が上がっている。 もしかして、呪術でも行っていた? そう感じた私は、小さな仏像を手に取り再び境内へ出ると神社の階段下へ隠れる。 させない!私が現状を覆すんだ。 「早く…しないければ…この現状を……」 私の頭上をコツンコツンと人が歩く音が聞こえる。 戸が開き閉まるまで隠れるとすかさず狛犬の方に走り出した。 「これなら割れる!!」 「!?やめよ!!!」 思わずあげた声に、気づかれてしまった。 私は追いかけてくる足音から逃げる様に走る。 だが、相手は私より足が速いらしい。 どんどん距離を詰められているのがわかる。 「砕いてみんなを助けるんだぁー!!」 私は狛犬の前で仏像を高く振り上げる。 「やめろっ!」 「!?」 腕を掴まれた! 私は必死に抵抗しようと暴れまわる。 「放してぇー!」 「やめよ!自分が何しようとしているかわからないのか!」 「放してよ! この玉がみんなを!!!」 「えぇい!やめぬか!」 「あっ!」 「くぅのーっ!?」 もみ合いになり、手から離れた仏像が緑色の玉に向かって行く。 私の手から離れた仏像を必死に捕まえようと手が伸びる。
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