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だいいちわ!【俺の妹は】
プロローグ
この世界には『妹』、と呼ばれる嗜好の存在がある。
世の中の健全男子諸君なら誰しも抱く理想と妄想の塊だ。
しかし、実際に妹を持ってみると皆『こんな妹なら弟が良かった』、『どうせなら姉が欲しかった』などと感想をこぼす。
俺たちの理想の妹はどこにいるのだ、と。
確かにこれは彼ら個人の感想であり、実際は義理の妹とゴールインしてしまったいけないお兄様たちもいるだろう。
だが、恵まれない妹を持っているお兄様たちが多いことも事実だ。
かくいう俺もその恵まれないお兄様たちの中の一人だ。
俺には今年で高校に入る『沙夜香』、という一人の妹がいる。
小学生までは仲良く話をしていたし、一緒にお風呂に入るのも日常茶飯事だったのだが、俺が中学生になると部活で忙しくなり、帰ってくるのはいつも八時過ぎ。
食卓を囲むのはいつも俺と父さん、母さんの三人だった。
母さん曰くすでに母さんと沙夜香は食事を済ませていて、晩飯を食っていないのは俺と父さんだけだと言った。
そんなこともあり、俺と沙夜香は徐々に会話しなくなっていった。
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