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やはり、予想していた通り
ふたりは特別な関係だった。
過去のこととマダムは話すけれど
それはさして重要ではないと思った。
彼女の前では
時の流れすら無意味だろう。
美しく磨かれた爪で
自身のシャープな顎のラインを辿る。
ほっそりとした指に飾られた
アンバランスなほど大きな宝石が
ルームライトの光を浴びて
目に痛い程輝いている。
どちらだ。
『でもね、Ms.コイズミ。
もしかしたらお祝いは出来ないかもしれない』
『……なぜでしょう?』
足元からはい上がってくる寒気に
唇が震えそうになった。
『ハルトのパートナーになった人が
つまらない女だったら……
奪い取ってやろうと思っているのよ』
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