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◆
『おはよう奈々緒。
出勤したら
まず俺の部屋に』
朝目覚めると
スマホに温人さんから
メッセージが届いていた。
帰国してそのまま
ヴィジュテラに向かったらしい。
飛行機の到着時間を考えて
マンションに寄るのは難しいと
わかってはいたけれど。
ひとりきり
広いベッドの上で漏れたため息が
白いシーツにぽとりと落ちた。
不安と寂しさ。
温人さんと
想いを通わせるようになって
感じることのなくなっていた
ふたつの負が
私をいま、飲み込もうとしていた。
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