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ビジュテラの
ゼネラルマネージャーのオフィス。
敷地にある
秋色に変わり始めた植木と
都会の街並みが一望できる
大きな窓を背に
私たちは抱き合っていた。
離れていた時間を埋めるように
しっかりと
それは苦しいほどに。
それでも私の中に
芽吹いてしまった恐怖は
多少薄らいでも
きれいさっぱりとは、
消えてくれはしなかった。
「ただいま、奈々緒」
「うん。おかえりなさい」
「寂しかった?
ちゃんと食事はとっていた?」
「温人さんこそ。
不規則な生活してなかった?」
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