試練

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素直にねだれば 嬉しそうな微笑みのあと 優しい唇が落ちて来る。 触れるだけの 戯れのようなキスから 段々と深く お互いの息を 奪うようなキスへと発展していく。 いつもなら 仕事中だからと まじめぶってこの胸を 押し返しているところだ。 けれどいまは もっと抱きしめて もっと激しく求めてほしいと 温人さんのスーツにしがみつく。 不安を少しでも払いたくて 彼の腕の中にいれば 大丈夫だと安心したくて。 温人さんに愛されていると ちゃんと感じたくて。 彼に与えられるものを 取りこぼさず受け止めようと 必死になった。 「どうしたの、奈々緒」
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