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温かな腕の中を抜け出して
ひとつ息を吸い
温人さんを見上げた。
「上遠野GM。
オリヴィア・ロッド様には
もうお会いになりましたか?」
「……いや。このあと
秘書を連れてご挨拶に
うかがうつもりだったよ」
突然仕事の顔になった私に
戸惑うそぶりを見せながら
温人さんが時計に視線をやる。
「なかなかこだわりの強い
お客様だと報告を受けたよ。
君がコンシェルジュとして
ロッド様の専属に急遽ついたと」
「はい。チーフからの指示で」
「うん。けれどそれはやめさせた。
私のゲストだとしても
特別扱いをする必要はない。
お客様からの指名がない限り
いつも通り全員で対応するべきだ」
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