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きっといま彼の頭の中に
真っ先に浮かんだ人がいる。
それはたぶん
美貌の貴婦人に違いない。
「ロッド様は……
GMのお好きな紅茶を
リクエストされました。
昔愛し合った人が
好んでいた紅茶なのだと
おっしゃっていました。
その方に会いに来たのだと
とても嬉しそうに」
おう語っていた
マダムの姿を思い出す。
過去だと言っていた。
けれどあきらかにまだ
温人さんに対して
特別な感情を持っている様子だった。
それがどの程度のものなのか
私には想像がつかない。
自然と早口になり
すぐに言葉は途切れ
部屋に沈黙が流れる。
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