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応対したバトラーが退室し
入れ替わりで廊下を進む
温人さんの背中を追う。
広いリビングに入った瞬間
昨日嗅いだばかりの
濃厚なバラの匂いに出迎えられた。
『ああ、ハルト……!』
ソファーの上で
気だるげに身を横たえていたマダムが
入ってきた私たちを見て
すぐさま立ち上がり、駆けてくる。
大輪の花が開くような
見惚れずにはいられない
華やかな笑顔を
温人さんただひとりに向けて。
『私をこんなに待たせるのは
世界中探しても
あなたくらいよハルト!』
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