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『ご挨拶が遅くなり
誠に申し訳ありません、マダム』
慇懃無礼な
温人さんの態度に
マダムは拗ねたように
唇を可憐に尖らせた。
その様子は本当に可愛らしく
一瞬彼女が私よりも
ずっと年下に見えたほど。
『やめて、ハルト。
昔のようにエヴァと呼んでちょうだい』
エヴァ……?
突然出て来た新たな名前に
私の眉がそっと寄る。
マダムの名前はオリヴィアだ。
けれどそういえば
オリヴィア・ロッドの名前は
温人さんの名簿にも記憶にも
存在しなかった。
けれどふたりは
互いに面識があったのだ。
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