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毎日行くパン屋さんに、俺好みの可愛い女の子がいるんだ。その女の子の苗字は山本さん。山本さんが持ってくるネコパンがすごく旨くてはまっている。中にクリームがたっぷり入っていて、大好きな猫の形。俺は三個買っている。すると、山本さんはにっこり微笑む。ああ、俺ってなんて幸せなんだと感じる瞬間だ。
日曜日、俺は一人で映画館で映画を見ていた時、隣ですすり泣く音が聞こえた。よく見たらパン屋の山本さんだった。涙でぐちょぐちょになった山本さんに俺はハンカチを手渡した。彼女は驚いてきょとんとしたが、受け取って涙を拭き取っていた。映画館を出た後、俺は勇気を出して、お茶に誘った。すると、彼女はOKを出した。喫茶店の中に入ってどきどきした。
「何、頼みます?」
「えーと、イチゴパフェがいいな」
「へぇ、意外と子供なんだな。」
「子供じゃありませんよ、大人です」
「ごめんなさい、それより、あのネコパンは君が考えたの?」
「そう、私、猫飼っているんです。ショコラっていうんですけど、ショコラを見ていたらひらめいたんです。パンにしてみようと思って作ってみたら、売れたんです。味はどうでしたか?」
「見た目は可愛いし、中はふわふわのクリームで美味しかったです」
「そうですか、嬉しいです」
「これからも新作が出たら、俺に食べさせて下さい」
「はい、厳しいジャッジお願いします」
数日後、俺はパン屋に行ってみた。居たのは、別の店員だった。
「あの、山本さんは?」
「山本は退職しました。パリに修業に行くとかで」
俺は失恋で落ち込んでしまった。
しばらくしてからパリから郵便物が届いた。山本静と書かれていた。中を開けたら、ハートのパンだった。手紙にはこう書かれていた。
「新作が出来ました。あなたに真っ先に食べて欲しいので、送りました。感想お願いします」
俺は一口食べてみた。旨かった。
「超旨かったよ!ありがとう」
俺は、嬉しくて万歳した。
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