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 確かに、フーリアさんを雇うときに『身内の契り』なるものを強制的にやらされた。互いの血を飲むというアホみたいな契約方法。こんなので家族になんてなれるはずがない。『互いの血を飲むことで2人の血は同じになる』なんて頭おかしいだろ。狂信者か。もっと普通でいいじゃん。結婚届け出せばそれで終わりでいいじゃん。それならまだ納得はできたのに。家族認定は血を交わす契約のみとか普通じゃない。 でもこの世界の住民であるフーリアさんはそれを信じきっている。それを証明することが出来る。 ティーカップを置き、それとなくフーリアさんに話しかける。 「フーリアさん、僕たちって家族なの?」 「勿論です。私達は契約によって血を分かち合った家族。ですから、何でも仰ってください」  ほらな?  僕はフーリアさんと家族とは思ってないから、こんなこと言われても他人に掃除以外の仕事は任せたくない。  ………だが、この人はエルフ。妖精の国と言われる大樹林の中で暮らしていた。ならば茶葉とかにも詳しいのではと僕は期待し、先ほどチラ見したのである。 が、他人にキッチンを任せるのは……でも紅茶が不味いし……いやしかし……。  悩みに悩んだ末。 「フーリアさんは、上手い紅茶淹れれる人?」  紅茶を優先した。 「……え?」 「……」 「あ、はい!それはもう美味しい紅茶を淹れる自信があります!」 「……じゃあ、お願いしてもいい?」 「お任せください!今すぐにお持ちします!」  紅茶が不味いのには耐えれなかった。アカンだろあの不味さは。ピンクの食神カー○ィでも吐くと思う。     
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