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 全校生徒先生全員が、つい数日前まで日本で過ごしていた日本人だとは思えないくらいに別人だ。まさに、異世界トリップもののラノベを読んでいるかのよう。   「…………おかしくなりそうだ」  靴を履き替え、玄関を出る。少し歩くと見慣れぬ町並みが広がっていて、非現実を現実として脳が捉えようとする。  中世ヨーロッパのようなレンガや木材でできた家々が建ち並ぶ住宅区、日本で言う商店街のように賑わう商業区、冒険者ギルドがある冒険者区、そして中心にそびえる王城。 他にも貴族とかが住む高級住宅区や、武器や防具を作っている鍛造区等もある。  この都市の広さは分からないけど、見たかんじ広いってことは分かる。けど探索なんてする気が起きない。俺を見ただけで武器や防具を売り付けてくる『勇者専門商人』がうざすぎるからだ。この剣はどうですか、この盾は凄いですよ、怪我にはこのポーションがオススメ……etc。 戦うなんて、とてもじゃないけど無理。元は学生……今も学生だが、普通の学生が未知の生物と戦うなんて馬鹿げてる。ここは小説じゃないのだ。別世界なのだ。チート無双や美少女フラグなんてものはないのだ。     
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