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「よう、坊主。武器いらねぇか?」
しばらくスマホを弄っていると声をかけられた。僕はスマホから目を外し、見上げる。そこにはスポーツ刈りの、筋肉モリモリなおじさんが立っていた。担いだバックパックは、はち切れんばかりに膨れている。
「結構です」
「んー………。だが俺の目は、坊主には武器が必要だと言っているぞ」
「はぁ?」
素で返事してしまったが、それは『スキル』ってやつだろう。人は職に就くことで固有の能力が使えるようになる。それが『スキル』だ。リアルじゃヤバイ人だが、この世界ならあり得る。
たしか同級生で「空烈刃ぁぁあ!!」とか言って斬撃飛ばしてたやついたし。もうあいつ人じゃないだろ。
「そんな疑うなって。俺の目は本物だから安心しな」
「…………」
「睨むな、睨むな。タダでやっからよ」
男はバックパックを下ろし、中を漁る。取り出したのは、なんの変哲もない片刃のナイフ。
「……これは?」
「普通のナイフだ。必要以上の能力は持ち合わせてないが、必要最低限の能力は持ち合わせている」
「はぁ」
「んま、そのナイフに触れた時点であんたが死なかったていうことは、やっぱり正解だったな」
「?!」
こいつ今なんて言った?!
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