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「食べる時は、って……それってほとんど休憩してないってことですよね!?」信じられないとばかりに声を上げる。 「忙しいでしょうけど、ちゃんと食べて休まないと身体壊しますよ?」  谷原から引き継いだプロジェクトは、思っていたよりも……いや、ある意味予想通り難航していた。システムを一部試運用したところ、旧システムからのデータ移行がうまくいかずに消えてしまうというトラブルまであった。いくらやれどもバグは見つかり、日々対応に追われていく。正直、昼飯を食べている時間すら惜しいのだ。何が「お膳立てされている」、だって?  もっと本当のことを言えば、朝だって今よりもさらに早く来るべきなのだ。――そう思っているはずなのに、僕はなぜか、毎日変わらず同じ時間にここへ来て、そして彼と短い会話を交わしている。 「それなら、ひと段落ついたら晩飯でも行きませんか?」  それまでと同じ調子で言われて、思わず聞き逃しそうになった。 「ひと段落……いつになるかはわからないけど……」 「いつでも良いですから。良い店探しておきますね」  栄養補給しないと!と言って、瀬戸は軽やかな足取りでフロアへ降りていった。
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