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 そう認めてしまっては、もう駄目だった。下腹部にぐるぐると渦巻く熱は、解放を待ちわびている。服の上から触れるだけで、小さく身体が跳ねる。少し焦りながら下着ごとずり下げ、ひんやりとした指先を添わせる。既に先端は濡れそぼり、茎を伝ってぬめりを与えている。 「んっ…………はぁ……あ…………」  ゆるゆると擦り上げると、甘い声が漏れ出る。指でぐるりと先端を撫でれば、気持ちよさに鋭く息を吸い込む。ぬるりとした液体がとめどなく溢れだし、後ろのほうに流れ落ちる。その感触に、小さな窪みが無意識にひくついたことに気が付く。そっと右手を這わせ、周囲をほぐすように押しながら、ぬめりを借りて、ゆっくりと指を沈めていった。 「あぁ……んぁっ……はっ……ああっ――」  内側に指をこすりつけ、出入りする感触に目まいがしそうなほど息が上がる。指を増やし、僅かに盛り上がった場所を繰り返し刺激する。 「んんっ……もっと……奥…………」  疼く場所に届かないもどかしさに、自然と腰を揺らしてしまう。そうしながら、夢の続きのように、頭の中では彼が僕の脚を持ち上げながら、逞しい身体で僕を押さえつけ、何度も何度も腰を打ち付ける。空いた手で胸の突起を探り、抓んでは弾き、追い上げていく。 「あぁっ、はぁっ…………も、イ――――っ」  抽挿を速めながら、再び自身に触れた途端、指が急激に締め付けられ、身体がびくびくと痙攣し、一気に脱力した。高いところから急降下するような感覚に意識をもっていかれ、しばらく動くことができなかった。  呼吸が落ち着いてきたと同時に、頭が冷静さを取り戻してきた。やってしまった。僕は、僕は――――  いっそこのまま彼に会うことがなければ、この気持ちもいつか消えていくのだろうか。虚しさと罪悪感をどうすることもできないまま、僕はもう一度布団に潜りこんだ。
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