遠くへ逝きたい。

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「ハニー、膝に乗ってくれよ」 シャンパンを持ったまま、自分の膝を軽く叩いた。俺を膝に乗せるのが、最近の彼のマイブームなのだった。 「せっかく広いリムジンの中なのに?」 ちょっと渋ってみるけど、リムジンなんかいつでも乗れると言って聞かない。 「それに、俺の膝の方がこのソファより座り心地がいいぞ?」 なんて自信満々に言うもんだから、ちゃっかり座ってしまった。そのまま抱きしめてくるから、せっかくの酒をこぼしそうになる。 「待って、酒置かせて」 無理やりサイドテーブルに置く。彼もいつの間にかシャンパンを飲みきり、グラスをどこかに置いていた。 「愛してるぜ、旅行楽しもうな」 甘えたみたいに笑いながら、俺を抱きしめた。 「ったく」 無邪気過ぎてガキみたい。つられて笑っちゃうから世話ないか。酒の味の混ざるキスを自然と繰り返した。 「んっ、ん」 首にしがみつくみたいに抱きつく。俺の方が少し下向きになりながらのキス。 彼の手が、俺の背中や脇腹をまさぐってくるのを感じて、パッと唇を離した。
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