1章

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同じ頃、水晶玉に映ったそのカナデの様子を、スズの塔の頂上にて見ていたホウオウは胸が締め付けられるのを感じながら、 「カナデ…。すまない…。こんなに辛い思いをさせているんだ…お前は私の事を嫌っているだろうが…っ、されど、私は決してお前を嫌っているわけではないっ…!ただ…お前に流れる私の血は薄い…それゆえに、私はお前の血を鍛えるためにわざとお前に強くあたってみせた。だが、どうやら逆効果だったみたいだな…。」 と言い、一区切りして、 「カナデ、お前はアキナ似なんだ、そのため人間の血が濃いだけなんだ。お前と接していて、それを改めて理解した。されど、ルギア一族と絆を深めるためにはお前の血は弱すぎる…この水晶玉も親睦を深めるためにルギアから譲り受けたもの。しかし、物を贈り合うだけではそれも限度がある…。だからこそ、ルギア一族との正式な契約が必要なのだ。ルギア一族には娘が生まれた、これを利用しない手はない。お前では、あのユリカの血には勝てない、ヒビキでなければ駄目なんだ。分かってくれ…カナデ。大丈夫だ、私はちゃんとお前を愛している。それがカナデにも伝われば、良いのだが…。」 と水晶玉からカナデを見つめる。 「カナデ…。お前は俺の血に縛られる事なく、普通に生きてくれ…。」 と呟いた。 すると、 「貴様はもっと普通に接してやる事はできなかったのか!?」 という声が聞こえてきた。 「誰だ…!?」 とホウオウが言うと、空間が歪み、そこからパルキアとダークライが出てきた。 「悪いねホウオウ。コイツが行くって聞かなくてね。」 とパルキア軽い感じで言う。 ダークライが、 「貴様、カナデがどれほど悲しんでいるのか知らない訳では無いよな…。なのに何故!?」 とホウオウに問うダークライ。 「ルギア一族との契約なんだ…。」 「貴様らは契約なんかしないと、仲良くできないのか!?」 するとホウオウは、 「少し待て。何でお前程の奴がカナデを気遣うんだ…?」 と聞くと、 「それはアイツがカントーに来てそんなに日が経っていない時に救われたからだ、としか言えねえよ。俺がその気になればいつでも貴様を殺す事が出来るが、しない。それはカナデが悲しむからだ。俺はもうカナデに悲しんでほしくない。だからお前を殺さない。」 と言い去るダークライ。 「んじゃあ俺も帰るわ。」 と言いパルキアも去った。
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