1章

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再びカナデ達の場面に戻り、 「それにね、私もあの時の夢を見ちゃったの。」 あの時の夢。 これはおそらくミスズが片足を失った時の事を言っているのだろう。 「全部終わったと思ってた。でもね、それは違ったの。カナデがずっと側にいてくれた。私が目を覚ました時、カナデは『例え私の体がバラバラになっても、植物状態になっても好きだって気持ちは変わらない。』って言ってくれたよね。そこなんだよ、私が貴方と結婚するって決めたのは。」 と、ミスズが笑顔で言った。 「って、聞こえてないか(笑)」 ミスズは、自分の胸に顔を埋めながら眠っているカナデを見ながらそう言った。 「最近少し気持ち悪くて、偶に吐く時があるんだけど、これが〈つわり〉だって信じてるよ私。さて、明日は検診もあるし、私も寝よっと。」 と言い、ミスズは胸に顔を埋めているカナデと一緒にそのまま横になり、 「おやすみ、カナデ。」 と言いカナデの額にキスをして、そして2人で眠った。 そして翌朝 「おはようカナデ。」 とミスズが言った。 「おはよう。早起きだなミスズ。起きた時に俺を起こしてくれても全然良かったのに。」 とカナデが言うと、ミスズは、 「そうしようとも思ったけど、カナデの寝顔が可愛かったから、つい、見惚れちゃって…//」 と言った。 「あのなあ…(苦笑)」 そして暫く談笑していると、ドアをノックする音が聞こえて、 「兄さん、ミスズ義姉さん。そろそろ朝ご飯だって!」 と、ヒビキが言った。 それに対して、 「おはようヒビキ。分かった、今行く。」 とカナデが言う。 リビングにて、 「おはよう母さん、ユリカちゃん。」 「おはようございます義母さん、ユリカちゃん、ヒビキ君。」 上からカナデ、ミスズ。 「兄さん何で僕には挨拶してくれないの!?」 とヒビキが言うが、 「いや、さっきしただろ。」 と言うカナデ。 「あ、そうだった。」 とヒビキが言い、 「さ、はよ食べはりましょ。」 とアキナが言った。 そして、 「「「「「いただきます。」」」」」 因みに朝食のメニューはご飯、味噌汁、梅干し、焼き魚といったシンプルな和食だった。
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