1章

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カナデは夢を見ていた。 10年前 当時12歳だったカナデは、学校では神童と呼ばれていた。 その理由は、 ・地域の弱小バスケットボールクラブを全国大会に導いた。 ・模擬試験でもトップ3には絶対に入っていた。 など。 夕飯時 「父さん母さん!俺さ!今日のバスケMVP賞とったんだ!」 「凄いどすカナデ。」 と言い頭を撫でるアキナ。 しかし、 「そんなものの為に時間を費やしていたのか。ヒビキ。夕飯食ったら行くぞ。」 と言いさっさと食事を済ませ、その場を去る父とヒビキ。 「…ねえ、父さんは俺の事、嫌いなのかな?やっぱりそうだよね、だってヒビキはホウオウの力があるのに、俺には無いんだ…。」 と言ったカナデ。 すると、アキナはそんなカナデを抱きしめて、 「そんな事はないどす。確かにホウオウの力はヒビキに比べて弱いどす。でも私は嬉しいどす。だって私と同じ人間なんよカナデは。これからは自由にしたらええんよ。」 と言った。 それによりアキナにしがみつき、暫く泣きじゃくっていたカナデ。 その後、 「ありがとう母さん。それと俺、中高はカントーに行く。」 と、そう言ったカナデ。 「!?…そう。ならカナデにはこの子をあげるどす。」 と言いアキナはモンスターボールを渡した。 カナデはそこからポケモンを出した。 すると中からヒトカゲが出てきた。 「その子を連れて行くといいどす。」 「ありがとう、母さん…。」 そして、カナデは夢から覚める。 「…まさかまたこの夢を見るとは、な。…ん?どうしたミスズ?」 と、隣にいたミスズに声を掛ける。 「カナデ、大丈夫?凄く魘されてたけど…。」 と言った。 ミスズはカナデが魘されていたので、起きてずっと彼の手を握っていたのだ。 「そうか…。悪いな。」 「大丈夫よ。私だけはずっと貴方の味方だからね。だから今は…。」 と言いカナデを優しく抱きしめて、自分の胸にカナデの顔を埋めさせる。 「泣いてもいいよ。貴方はいつも強がってるけど、弱い所も見せて、ね?」 と言うミスズ。 その言葉にカナデは、 「悪いミスズ。少し胸借りる…。」 と言い静かに泣いた。 その間ミスズは何も言わずに唯々カナデの頭を撫でていた。
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