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その後、レオナに臭いと指摘された俺は、涙を流しながら村長宅で風呂を貸してもらい、俺の畑へと向かった。
「あんた、この先どうするの? 皆言ってるわよ、もうここの土地はお終いだって」
心配そうに眉間に皺を寄せるレオナに、俺は何とも言えず。
「んー……どうにかなるでしょ!」
「はぁ、あんたに聞いた私が馬鹿だったわ」
深い溜息と同時に額に手を当てるレオナ。
俺だって別に何も考えていない訳じゃない。
最悪、王都に行けば冒険者に成れる。依頼による報酬は破格だと聞いているが、その分死と隣り合わせの生活を送らなければいけなくなる。
これに関して、俺は別に嫌だとは思わない。元々いつ死ぬか分からないような状況だ。
最近盛んに人間の国を襲う魔族達。その力は絶大であり、今までに大小幾つもの国が滅んだ。
現在もお隣の帝国が被害にあっているようだし、恐らくこちらもそろそろだろう。
そういうことを考えると、冒険者になって各地を放浪したほうが安全だ。
しかし、幾ら俺でも、
「この村の連中放っていけないよなぁ」
「何の話?」
「何でもねぇよ」
まぁ、これに関してはその時が来てからでいいか。
そう俺は状況を楽観視し、歩きなれた砂利道を歩いて行く。
――まさかそれが、もうそこまで迫っているなんて知る由も無く。
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