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それが訪れたのは、あの後すぐの事だった。
畑に着いた俺達二人は、いつもの様に鍬を片手に土を耕そうを懸命に励んでいた。
しかし、乾燥しきった死んだ土だ。何をどうしても生き返ることはない。
逆に、日当たりとかの関係で水気の飛ばない土ならば、廃棄する野菜とかをそこら中にばらまいたりしたら、何とかなるのだが……。
俺は本日何度目か分からない溜息を吐き、土の上に腰を下ろした。
「なーにやってんのよ。人を使っといて自分は休もうなんて、いい度胸ね」
「いや、それは悪いなと思うけど、別に俺のとこばっか手伝わなくてもいいのだぜ?」
「べっ別にあんたの所だけ手伝ってるわけじゃないわよ!!」
「その割には他の畑で見ないけど……」
「き、気のせいよっ!」
鍬を肩に備えた少女は紅潮した顔を隠すように明日の方向を向く。
しっかしまぁ、本当に無意味な事ばかり続くな。
こうも効果が無いと流石に……。
――その時
「私は魔王ナキア!! 貴様らの土を死に至らしめたのは私だ!! 野垂れ死にたくなければ投降せよ! 少しでも拒否する動きが見え次第、即焼き払われると思え!!」
と村の方から声が聞こえてきた。
突然の出来事に俺とレオナは顔も見合わせる。
徐々に血の気が引いていく音が聞こえ、レオナも顔面蒼白になっていく。
「う、嘘よね……?」
「何かの冗談だろ。だってよ、まだ帝国は落とされてねぇじゃねぇか!」
苛立ちの隠せない俺は勢いよく立ち上がり、レオナを連れて村へと急ぐ。
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