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距離はそう遠くない。
少し走るだけで村の入り口が見えてきた。
其処には何か背の高い影と、恐らく村人であろう集団の影を視界に捉えることが出来、先程の声が嘘では無かったのだと思い知らされる。
これはやばいぞ。今さっき思ってたことが現実に起こるなんて……。
もう少しゆっくりしてても良かったんだけど!?
そうこうしている内に村に到着し、俺とレオナは乱れる呼吸を無理やり抑え込む。
俺達の足音に反応したのか、漆黒の毛艶で四足歩行の魔獣に跨ったそいつが振り返る。
「ん? この村の住人か、先程の声明は聞こえたか?」
「…………」
「は、はぃ」
俺はそいつを見て絶句し、レオナが恭しく頭を下げる。
待てよおい。待て待て待て待て。
何だよこの人…………何でこんなに美人なんだよっ!!
振り返る時に靡いた艶やか銀色の長髪、鎧から時折見える肌は褐色に染まっており、鎧越しでもスタイルが良いのが分かる。
そして、その声と美貌。
切れ長の目から覗く黄金の瞳に心を奪われそうになり、思わず息が漏れる。
「なんだ貴様、私の顔に何かついているのか?」
そう言ってペタペタと顔を触り出す。
――――可愛すぎかよっっ!!
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