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えんやこらさ、どっこいしょっと。
俺の毎日はこうだ。
畑に始まり畑に終わる。ふっ、しがない只の農民さっ!
……。
冗談はさておき、俺の名前はファージ。このランタコ村で畑仕事に精を出す十六歳。
容姿はもう、普通。普通。普通。
あ、ただ髪色が黒だったわ。周りがカラフルだから、これだけが違和感大ありかな。
そんな、髪以外全く持って普通の俺であるが、畑に賭ける魂は本物よっ!
村一番の肥料に、村一番の水、村一番の土に、村一番の――
「俺が村一番じゃあああぼけええええええいっ!!!」
「じゃかあああしんじゃぼけえええええ!!!」
「あ、はい」
とまぁ、それくらい力を入れていると思って頂けるのなら幸いです。
俺は空いていた窓を、隣さんに謝ってからそっと閉じ、溜息を吐く。
「畑に精を出してるって言ってもなぁ……」
何も実らないのでは仕方がない。
いやちょっと待てよ、ここで実らないってのは、俺のせいじゃないからな!俺はしっかり! ちゃんと! 真面目に! やってるんですぅぅ。……。
一人で阿保みたいなことは止めにしよう……。
しかし、畑が死んでいるのは本当であり、これは俺の所に限らずこの村全ての畑が同じ状況に陥っているのだ。
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