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「プロポーズは違うでしょ。特に、女性は結婚に夢を持っているんだから」
「へぇー。じゃあどんなプロポーズが夢だったんだ?」
「夜景の見えるレストランで、ダイヤの指輪を出されながらロマンティックに言われたかった」
「うわ~、なんか乙女って感じだな」
そう言って、彼はクツクツと小さく笑った。
「乙女ですから、私も」
そんな彼に、私も冗談めかしながら返した。
「じゃあ結婚式とかにも夢持ってたりするのか?」
「もちろん!結婚式は、海の見える綺麗な教会でやりたいなぁ。あ、ウェディングドレスを着て砂浜で写真撮ったりとかも良いね!」
「へぇ~。それもまた女子が憧れそうなことだな」
「煩いなぁ~。良いじゃん、別に。夢なんだから」
「じゃあ新婚旅行はハワイ、なんて言うのか?」
「うん、そう!良く分かったね」
「…本当ベタだな、お前」
小馬鹿にしたように笑う彼を、私は横から軽く殴った。
その拍子に、彼の手に持っていたマグカップの中身が少し零れたようだが、私は気にしなかった。
「別に悪いとは言ってないだろ、ったく…。で、その壮大な夢はそれで終わりか?」
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