8.ゲイ×カマ

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「ああ・・・あれで懲りて最近深酒するのは止めたのかな。あの時は私も驚いたからね。あの上品でクールな紅峰くんの中に、あんな情熱があったなんて全然気づかなかったからさ。若くてモテるのに女性に素っ気ないのが気掛かりだったくらいで」 「えっ関川さん・・・あの・・・」 「ああ・・・ごめん、君たちのことは紅峰くんから聞いてる。心配するな、誰にも言わない」 「はあ・・・」 紅峰は一体何を何処まで話しているのだろうと獅堂がドキドキしていると、関川は本題に入った。 「今朝のやり取り見てて、あれ聞いてないのかなと思ってね。だったら私が勝手に話したらマズイかなって一日考えたんだけど、やっぱり言いたいから言うよ。紅峰くんは君と付き合う前に鷲尾くんと付き合ってたんだ」 「ええー?!」 獅堂は思わず大声を上げてしまったが、幸いそれぞれ飲んで賑わっている客達は気に留めなかった。 「でもほら鷲尾くん、結婚しちゃったでしょ。その前に2人で話し合ったらしいんだけど、かなり行き違いがあったみたいで・・・紅峰くんが鷲尾くんの将来を思って私は大丈夫だから結婚した方がいいって言ったのを鷲尾くんは結婚しても今まで通り関係を続けられるって考えたみたいでね、結婚した後別れる別れないで随分もめたらしい。なんか元気ないし紅峰くんらしくないミスが続いていたから飲みに誘ったら、思ってもみなかった打ち明け話をして本当は私だって別れたくないんですって泣き出して。だったら次の恋人が出来るまでこっそり付き合ってたらいいじゃないかって言ったら、そんなの絶対ダメです、子供を授かる神聖な場所と汚れた偽物を一緒に扱うなんて絶対ダメですって。自分のことそんな風に言うなよって言ったら益々泣いて止まらなくなっちゃって。ほんと参った。可愛くて」 「は?」 ショックを受けながら黙って聞いていた獅堂が、最後の一言に引っかかって顔を上げると、関川は笑って首を振った。
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