2.モブ×天使

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そして翌朝、浅い眠りから目覚めた獅堂が寝室の様子を見に行くと、流史はまだ眠っていた。 (こうして見ると、まだほんとガキだな) 流史は子供っぽいと思っていた松永よりずっと年下だ。2つの顔を比べながらそのあどけない寝顔を見詰めていると、流史が目を覚ました。 「どうだ。少しは楽になったか?」 流史は不機嫌な顔で暫く黙ってから答えた。 「イテーし、だるい」 「そいつは良かったな。まだ生きてるってことだ。何か食うか?」 「どっちでもいい」 「じゃあ食え」 獅堂が用意したシャツを着て、流史は黙って獅堂が用意した朝食を食べた。どっちでもいいと言っていたわりには腹が減っていたのだろう。ちっとも美味そうな顔はしなかったが、素早く残さず食べた。 「俺は仕事に行くが、おまえは夏休みだろう。動きたくないなら、もう一晩泊まってもいいぞ」 流史は怪訝そうな顔で獅堂を見て、フイと横を向いた。 「動きたくはないけど、動ける。帰る。こんな所に長居する趣味ねーし」 また犯されると思っているようだ。けれど、もう襲わないと誓う自信のない獅堂は引き止めなかった。 「そっか。じゃあ一緒に家出るか。趣味じゃねーだろうけど、その服はやるよ。こっちはどうする?持って帰るか」
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