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氷動はベンチから体を起こし、アザミに向かって頭を深くさげた。
「無理すんな。傷に障るぞ」
「自分は……他の班員たちよりも力不足かも知れませんが『アザミ班』の一員として精一杯頑張ります。今後は遠慮なく鍛えてください」
「おいおい、ずいぶん謙虚じゃねぇか」
「アザミ班長と初顔合わせの時……」
「ん?」
「吐いた奴は初めてだと聞きました」
アザミは氷動の言い方に違和感を感じた。
「おい氷動、カギヤから俺の『ヒミツ』を聞いたって言ってたよな?」
「はい、アザミ班長が纏っている特殊なフェロモンは、男性相手に効果を発揮する。多少増量も出来ると」
「それだけか?」
「はい、それだけです」
そう聞いたアザミは、氷動の頬に厚い手のひらを添えると挑発的になで始めた。
体温を直に感じる部分から、ゾクゾクと甘く痺れるような感覚が急速に広がっていく。
「……っ!」
「俺のフェロモンは、男だったら誰でも反応するって訳じゃねぇんだぜ?」
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