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「あの白いのって、カギヤさんの車スよね?」
充電が無事済んだらしくパソコンは収納されて、マリネの手には再びスマホが握られていた。
白いファミリーカーを注視しながら、アザミがマリネに聞く。
「そのようだな。『満腹先生』の現在地はどうなっている?」
「ん~『スーパー大食いちゃん』スってば!……現在地は、まったく変化なしス。あの車の中にあるってことスね」
しかし、人の気配はない。
「ゲームショップは、この先だな?」
「そス」
「行ってみようぜ」
アザミは、車をゆっくりと移動させる。
コインパーキングを過ぎ、かなりゲームショップに近づいた所で路肩に車を止めた。
これ以上、標的とする建物に近づくのは好ましくないというギリギリの距離だ。
「降りるぞ」
音を極力たてないように、そっと二人は車のドアを閉めた。
それから通行人を装って普通に歩き始めたが、足音は意識的に消している。
他人から見ればこの二人連れは、男の色気を纏った体格の良い父親と高校生ぐらいの可愛らしい娘または息子に見えるだろう。
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