【10】ラブホテル組

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 ゲームショップを目視できる距離にまで近づいた。  片岡に聞いていた通り、正面入り口のシャッターが下ろされているのが見える。  この辺りは人通りが少ないようだ。  捜査員らしき姿はもちろん、アザミたち以外に通行人もいなかった。  その時だった。  ゲームショップの建物の陰から、弾けるような乾いた音が数回聞こえた。 「!」  アザミは瞬時に右手の指で幾つかの形を続けて作り、動かすことでサインを出す。  指示を受け取ったマリネも無言で了解のサインを返すと、すごい勢いでスマホを操作し始めた。  すべてセットし終わると折り畳まれた薄い板を取り出し、そこから伸びているコードの先をスマホに接続する。  これはマリネが発明した、携帯タイプの大音量スピーカーだった。  ゲームショップの方向へ向けて板を広げ頭上にかかげると、スマホを持っている手でスイッチを入れる。  スピーカーから車が停車する音、そのドアを閉める音、大勢の足音が次々と流れだす。 「銃声があったと通報があったのは、この辺りだな!」 「全員気を付けろ!だが、絶対逃がすな!」 「繰り返す!発砲に注意!」
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