【10】ラブホテル組

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 複数の人間たちによる慌ただしいやりとりが、聞く者の緊張感を増幅させる。  当事者なら、なおさらだろう。 「マリネ、ゲームショップまで車を移動させといてくれ」 「了解」  マリネは車の元へと走った。  アザミはゲームショップの裏手へ回るべく、店の横にある細い道路を慎重にのぞきこんだ。  すると細い道路のずっと前方に、目の前を横切る大通りで止めたタクシーへ軍用ブーツを履いた男がひどく慌てて乗り込む姿が見えた。  タクシーが走り去ったタイミングで、アザミは息を殺して細い道路を前進する。  そしてゲームショップの裏手で倒れている氷動とカギヤを見つけた。 「やっぱりな」  そう呟いたアザミが手前の氷動に近づくと、腹の辺りから血が流れている。  近くには拳銃が落ちていた。 「……さっきのタクシーの野郎が撃ったのか?」  氷動の青ざめた顏からは生気が感じられず、まるで美しい陶器の人形のようにも見える。  アザミでさえも思わず見とれそうになりながら慌てて脈を確認し、ひとまずホッとした。    見回りの予定時間とは関係なく、銃声を聞きつけた捜査員が駆けつけてしまうかも知れない。  アザミは二人をここから一刻も早く移動させることを最優先と考え、行動を開始した。
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