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やがてアザミのリードにより充分満足した門久利は、ぐっすりと眠り込んでしまった。
きっと長きに渡って、眠りの浅い日々を過ごしてきたのだろう。
アザミは門久利の頬に優しくキスをすると、そっと客室の戸を開けた。
夜更けの庭園に人影は見られない。
美しい星空を独り占めするために、アザミは外へ出たわけではなかった。
屋外の喫煙所に着くと周囲を見回してから、ケータイを取り出す。
「おう、オヤジどうよ?」
アザミが煙草を咥えながら電話をかけた相手は、片岡警視長であった。
「ああ調べた。オマエが連絡を入れてきた門久利医師だが、このまま医者をやめてしまっては惜しい。実に優秀な外科医だ。ただ人間関係には、まったく恵まれなかったようだな」
「ああ、俺がオヤジに調べを頼んだ理由、言うまでもねぇと思うが」
アザミはニタリと笑って続けた。
「必要だよな?俺たちに」
「そうだな、ぜひ欲しいところだ」
「じゃあ決定だ。メンバーが増えるぜ」
「だが、まだ私は本人に会ってない。オマエに任せて大丈夫なんだな?」
「もちろん。データ以外の部分は、俺が責任もって直接調べたから安心しな」
「ほう。休暇というのに仕事熱心だな」
「仕事といえば確かにそうだが、お釣りがくるほど楽しんでるぜ?」
「おい、まさか」
「そんじゃ、そういうことでよろしく」
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