【11】ドクター・モグリ

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 アザミは通話を切ると、煙を吐き出してから客室に戻った。  そして後日、門久利は心機一転、モグリと名を変え「96」専属の医師となったのである。  現在、彼が勤務する病院は郊外にあり、外見はどこかの企業の倉庫のように見える。  中にはコンテナがいくつも積み重なり、中も外も何の変哲もないありふれた倉庫にしか見えないのだが、そのコンテナの中から一つを開けると地下への入り口が隠されている。  スロープを下ると最新の医療器具が揃い、入院出来るベッドも数台用意されている「モグリ病院」となっているのだ。  地下ではあるが明るく空調設備も整えられ、清潔感にあふれている。  片岡によって人選された、優秀なスタッフも揃えられた。  ただしスタッフが全員女性であるのは、あきらかにアザミ対策である。  その名の通り「モグリの医者」となってはしまったが、彼の実力を高く評価した「96」の厚遇にモグリは感謝し、この場所で自分の使命をまっとうすることを決意した。  そして今日の未明、モグリ病院に重傷を負った氷動とカギヤが、マリネの車で運び込まれた。  モグリは優秀なスタッフたちと共にその手腕を存分に発揮して、氷動の手術とカギヤの治療を無事成功させたのである。
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