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【12】命いらずの男
あれから四日後、モグリ医師から片岡警視長へ連絡が入った。
氷動とカギヤの意識が戻り、まだ安静は必要だが容態は随分安定したとのことだった。
片岡からその連絡を受けたアザミは、すぐにマリネと合流。
マリネの運転する小型車でモグリ病院へ向かった。
「二人に何かお見舞いを用意しようと思ったんスけど。ん~食べ物とか、まだ無理だと思って」
「だろうな」
ゲームショップの裏手に倒れていた二人の酷い姿を思い出し、アザミが眉をひそめた。
氷動とカギヤに会うのは、あの時以来である。
「だから退屈しのぎになったらと思って、ボクが厳選した『マニアックすぎる無修正動画集』を作ってきたス」
「おいおい、ベッドの上で動けねぇ連中が、そんなの観せられたら生殺しじゃねぇか」
「ん~残念。そこまで考えてなかったス」
「せっかくマリネが作った動画集をボツにするのはもったいない。俺がもらってやろう」
「ダメっス!班長が観たいだけじゃねっスか~!」
相変わらずの二人である。
「おう、入るぜ」
「……班長」
アザミが最初に訪れたのは、カギヤの病室だった。
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