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マリネは待っている間、モグリの元へ遊びに行っていた。
モグリとしてはいい迷惑である。
「起き上がるな。そのままでいい」
アザミの姿を見て無理矢理起き上がろうとするカギヤを制すると、ベッドの隣りにあった椅子に腰かける。
カギヤは特に頭を攻撃されていたと、先にモグリから聞いていた。
「こんなこと……なってしまっ……申し……ありませ……」
口の中も数ヶ所縫合しているため、今は強い鎮痛剤でなんとか痛みを抑えている状態だという。
うまく言葉が話せないのはそのせいらしい。
病室の照明の光に反射するカギヤの頭全体に巻かれた白い包帯が、痛々しかった。
「いかれた歯はあったようだが、両目が無事だったのは不幸中の幸いだな。本当に良かった」
相当しゃべりづらそうだが、カギヤが必死に言葉を絞り出す。
「班長と……マリネちゃ助け……ありがと……ござ……ます」
「当然だろ?気にすることじゃねぇさ」
アザミは優しい声で言った。
「オメェにはゲームショップで何が起きたのか報告して欲しいところだが、こんな状態で話せと言うのはさすがに酷だ」
「僕……大丈……ぶ……」
「いいから最後まで聞け」
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