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【13】最後のキス
モグリ医師は、ソファでぐったりしていた。
難しい手術を終えた後の疲労感とは全然違う。
何も考えられない状態、すなわち「無」になった気分だった。
「動画面白かったスか？『マニアックすぎる無修正動画集第二弾』が出来たら、また持ってくるスね」
いつもと変わらぬ口調でマリネが言いながら、テレビモニターとスマホの接続をはずし、手際よく片付けていた。
「もう持ってこなくていい！今後、君は院内に見舞い品の持ち込み禁止だ！」
「ん～先生も興味津々に最後まで全部観てたじゃないスか」
「そ……そんなことはない！」
片付けが終わったマリネは、焦っているようにも見えるモグリの隣りに座った。
「自分でも、本物を試してみたくなっちゃったんじゃないスか？」
と、可愛らしい顔に小悪魔のような笑みを浮かべながら見つめてくる。
「違う！今まで見たこともない道具が次々出てくるから、それぞれの使い方が気になって最後まで目が離せなくなってしまっただけだ！」
モグリの真面目な「一度気になり出したら、頭から離れなくなってしまう性分」が裏目に出てしまったらしい。
「安心してくださいス。ちゃんとデータは取ったス」
「データ？なに？」
「先生が動画を観ている時に、ボクは先生の下半身を見てたス。先生が特にもじもじ反応していたオモチャのベスト3を、今度プレゼントするスね」
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