【01】聞いたら戻れない話

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 しかし警察という立場である以上、どのような理由があるにせよ法律に反する行為は認められない。  例えば重要な証拠であっても入手方法が違法であった場合は、裁判において採用されないように。  そこで警察組織とは別に、違法行為も含めて手段を一切選ばずに捜査に協力するチーム「96」を極秘に発足(ほっそく)したというのだ。  改めて片岡が氷動を見た。 「ここまで話せばもう分かるだろうが……氷動、君には今後『96』の一員として活躍して欲しい」  ひるむことなく氷動も美しい獣のような眼で、片岡を力強く見つめ返す。 「はい。ご期待に添えるよう尽力(じんりょく)致します」 「うむ。頼んだぞ」  片岡の言葉を氷動が快諾(かいだく)したといえば聞こえも良いが、握手をした瞬間から答えは一択(いったく)しかなかった。  決して世間にその存在を知られてはならない、違法なチームの正体を知ってしまったのだから。   ・「96」メンバーたちには、優秀な能力とハイリスクを考慮し、作戦完遂ごとに破格の報酬が約束されている ・「96」の存在が表沙汰になった場合は、警察によって非公式に作られた特殊チームであることを警察は一切認めない ・「96」に関わる情報を守るために、班全員を闇に葬る場合も考えられる  一作戦ごとに命を大金で売り渡すということか。
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