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マリネの冤罪主張をスルーして、アザミはモグリに頭をさげた。
「先生、ありがとうございました。二人への聴取が完了したので戻ります」
「そうですか、お疲れさまでした」
アザミは苦笑した。
「先生の方が、よっぽどお疲れじゃないですか。今度メシでも行きましょう」
「ええ、ぜひ」
「じゃあ、ボク予約しとくスね。三名分」
「君も来るのか!」
マリネの言葉に思わずモグリが叫んだ。
そんな病院での賑やかなやりとりとは正反対に、帰りの車内は静かだった。
氷動の病室から戻ってきたアザミの様子から、マリネもさすがに何かがあったと感じ取っていたようだ。
後部座席のアザミがボソリと低い声で言った。
「なぁ」
「はい」
ハンドルを握っているマリネが、正面を見たまま答える。
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