【13】最後のキス

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 アザミに解放され、再びベンチに身を預けた氷動は、ぼんやりと考えていた。 「薬が効くまで時間がある。オメェが今までどんな人生だったのか、聞かせてくれよ」 「……楽しい話は、持ち合わせていませんよ」 「構わねぇさ」  二人の間に波音だけが聞こえる時間が流れていく。  どれくらい()っただろうか。  氷動がポツリと独り言のように呟いた。 「自分は……呪いをかけられていたんです」
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