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片岡の説明を聞きながら、改めて「マトモじゃない」と思った氷動ではあったが後悔はなかった。
むしろ昨日まで存在すら知らなかった世界に自分が足を踏み入れたという実感が、じわりじわりと足元から湧いてくるのが心地良かった。
その顏は相変わらず無表情ではあったが。
「ああ、それと氷動。今後は眼鏡をかけろ」
「視力は良いですが……『96』の決まりなのでしょうか?」
「いや、君は顔が美形すぎるから印象に残りやすい。伊達眼鏡でもかけて、多少なりとも顔を隠した方がいいと思ってな」
そう言うと地味な上官は地味に笑った。
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