【14】呪い

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「自分は……カギヤさんを裏切ってしまったんですね……」  氷動はようやく、自分の何がアザミの逆鱗(げきりん)に触れたのかを理解した。  決して氷動自身の存在を否定されたわけではなかったのだ。 「自分と仲間を信じろ」  アザミは氷動の肩を強く抱いた。 「俺の班に死にたがってる奴なんて誰もいねぇし、死なせるつもりもねぇ」 「班長……申し訳ありませんでした……自分は……」 「氷動、オメェが謝る相手は俺じゃねぇだろ?」  アザミの言う通り、カギヤにもモグリ医師にも謝罪したくてたまらなかった。  しかしモグリ病院は「96」のメンバーしか入れないのだ。    氷動は自分のしてしまった行動を後悔したが、もう遅いと思った。 「自分は逃亡しました」 「それは俺が『班にいらねぇ』ってオメェに言ったからだろ?」 「……はい」 「まだ死にたがってんのか?」 「いいえ……でも……」
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