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【02】最悪な顔合わせ
片岡警視長と別れたその足で、氷動は眼鏡を購入することにした。
今後、表に出せない仕事をするとなると、身に付けるものは近場の店で購入しない方が良いだろうと考え、普段の氷動が気軽に買い物に出かける距離ではない街までバイクを走らせた。
氷動の退職願はタイミングを見計らって、受理されるとのことであった。
「それまで君も後片付けや準備の期間に充てるといい」
そんな片岡の言葉を優しさだと受け止めるほど、氷動はおひとよしではなかった。
これは監視期間だ。
事の重大さに次第に耐えられなくなり自ら命を断とうとする者、「96」の一員になったと見せかけて裏切る者、身近な人間に秘密を漏えいしてしまう者……今までにいたとしてもおかしくはない。
自分をどこからか見ているのだろうか。
もしくはそう思わせることが、すでに「96」にとって不都合な行為をさせないための抑止力となっているのかも知れない。
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