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「鎮痛剤、効いたようだな」
「……それじゃ、さっきの錠剤は鎮痛剤だったんですか?」
「俺が氷動を追うとモグリ先生に伝えたら、そろそろ痛み止めが切れている頃だから持って行ってくれって全力で頼まれちまってよ」
氷動の現状に合わせて、眠気の起きない鎮痛剤をモグリが用意してくれたらしい。
「みんながオメェを心配してる。帰りを待ってるぜ」
アザミの言葉、皆の気持ち。
自分はすでに居場所を見つけていたのだと、氷動はようやく気が付いた。
数十年間、偽りの愛情で育てられたという過去の傷に囚われすぎて、現在かけがえのない仲間たちに囲まれていたことが見えていなかったのだ。
祖母亡き後、氷動に呪いをかけ続けていたのは、彼自身だったのかも知れない。
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