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「……そう言われて見れば。街中で男性が全員反応したら大変ですよね?」
「ああ。善悪には関わらず人並み以上に能力を持っている、例えば頭のいい男、戦闘力が高い男、なにか技術に秀でた男、強い権力を持つ男……というような、限られた野郎だけが反応するんだ」
と、わざとアザミが氷動の耳元に唇を寄せて艶やかに囁いた。
思わず氷動の体がビクリと反応してしまう。
「そして持っている能力が強ければ強い男ほど、俺に激しく反応しちまうんだよ」
「つよ……え?」
どうやら「96」のメンバーたちが、氷動の過剰な反応に驚いていたのは弱いからではなく、能力が強すぎるという結果に対してだったらしい。
すなわち氷動が気にしていた、アザミに対して起きた初顔合わせの時の反応は、真逆の意味を持っていたのだ。
「あ、そういえば以前」
何か思い出したらしく、アザミはにんまりとした。
「片岡のオヤジの奴、俺と警視庁の廊下で初めてすれ違った時に目まいを起こしちまってさ。何かで攻撃してきた、この男を捕まえろって地味に騒ぎやがった。周りの連中は意味が分からず、きょとんとしてたけどな」
まさか片岡警視長も「強い男性に効果のあるフェロモン」が原因だとは、夢にも思わなかったのだろう。
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