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「そんで、俺のフェロモンに目を付けたオヤジから、最初に『96』の話を持ちかけられてな」
当時の様子を思い出しながら、アザミが楽し気に笑う。
「いろいろあったが、現在じゃ俺そのものが『96』の新メンバーや、敵の強さを量る測定器みてぇなモンさ」
新しい班員が持っている能力の強さを、初顔合わせのたびにアザミはフェロモンで確認していたのだ。
「班長のお話からすると、片岡警視長はとても強いということですよね?」
「ああ、あの地味オヤジに関しては、俺もすげぇ実力の持ち主だと思ってる。面白くねぇから本人にゃ言わねぇけど」
「それならば、なぜビジネスホテルでの初顔合わせの際、班長の影響を受けなかったんですか?」
「オヤジは愛妻家を通り越して恐妻家なんだ。だから絶対浮気はしねぇって気持ちを強く持つことで、個人的に対策しているんだと思うぜ?」
「それじゃ班長のフェロモンへの対処法は、自分が意識して抑えるしかないんですか?」
「そうだなぁ、体の変調が出たら俺の影響だと意識して、あとは強い気持ちで抑えてもらうしかねぇや。ああ、それに次第に体が慣れてくるらしい」
薬の影響もあるかも知れないが、確かに氷動も以前と比べれば、アザミに対する反応は随分と落ち着いた気がしていた。
氷動は再び鎮痛剤の効果が切れる前に、モグリ病院に戻ることにした。
「くれぐれも気を付けるんだぜ。今度は病院で会おう」
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