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そんな氷動の背中に優しくモグリが手を添えた。
「今日から君のベッドはここだ」
モグリはカギヤのベッドの向かい側にある、もう一方のベッドを指さした。
「君が今後もう脱走しないように、カギヤ君に監視役になってもらうことにした」
「……もうしませんよ」
氷動はそう言うと、まるでカギヤのような困り笑顔をした。
驚いて思わず顏を見合わせたカギヤとモグリであったが「氷動君はもう大丈夫だ」と確信した。
アザミとマリネが二人の病室を訪れたのは、それから数日後だった。
「入るぜ。ああ、二人とも起き上がらなくていい」
「大丈夫ですよ班長。まだ痛み止めは使っていますが、随分楽になりましたから」
「自分もです」
そういうと、カギヤと氷動はベッドから上半身を起こした。
確かにカギヤの痛々しく腫れ上がっていた顏も、頭に巻かれていた包帯も、かなりスッキリしてきている。
「ようやく口の中の抜糸が出来たんですよ。完治したら焼肉が食べたいなぁ」
「んじゃ、退院祝いは焼肉にすっか」
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