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街に到着した後もバイクを走らせていると、全国展開している眼鏡店が目に入った。
広い駐車スペースもある。
自動ドアが開くと「いらっしゃいませ!」と店員たちの明るい声が店内に響いた。
しかし挨拶を終えた後も、女性店員たちの目は冷たさを感じさせる美しい顏立ちをした来客に釘づけになったままであった。
いつのまにか先程までいた店員の数名が消えている。
今頃は店の奥で、この客は俳優なのかモデルなのか、メディアで見かけたことはないかと盛り上がっているのだろう。
「なにかお探しでしょうか」
若い女性店員が、笑顔で氷動に声をかけた。
彼女は内心「これは仕事!お客様に誠意をもって対応をするのは当然!」と自分に必死に言い聞かせていたのだが、その声に反応した氷動に視線を向けられた瞬間、耳と顏が一気に赤くなってしまった。
「眼鏡を初めてかけようと思うのですが、自分に合うものが分からなくて」
「あのっ……!当店では、コンタクトレンズの取り扱いもございますが!」
氷動の顏を眼鏡で隠すなんてもったいないと、全力で思っているのだろう。
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