【15】黒沼の罠

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一昨日(おととい)、D港の倉庫で爆発事故があったニュース、知ってるか?」  手荷物を机に置きながら、アザミが言った。 「ええ、テレビと新聞で。ガスが原因だったんですよね?パイプが老朽化し、漏れたガスに引火したと」  カギヤの言葉に氷動が続ける。 「ネットでも。確か、ちょうど港を警戒していた警官が四名、爆発に巻き込まれて負傷したとありました」 「ありゃ事故じゃねぇ。外部に情報は出しちゃいないが、本当は黒沼が仕掛けた罠にやられたんだ」  アザミの言葉に、カギヤと氷動は顔を見合わせた。 「ゲームショップから命懸けでカギヤと氷動が持ち帰った調査結果を、俺たちで解析することにした」  アザミが、自分とマリネを親指でさす。 「そこでマリネに『どんぶりマシン』でゲームショップにあったパソコン一台分、丸ごとコピーしたデータをメインで担当してもらったんだが」 「……『スーパー大食いちゃん』ス」  ちゃんとそこは訂正するんだなと、カギヤは少しホッとした。 「主に店の売上計算や在庫管理用などに使用していたらしく、それ以外は特に怪しいデータは入ってなかった」  カギヤはゲームショップの事務所の中にあったものを思い出しつつ、氷動を見た。 「そうでしたか……でも他に電子機器は、なかったよね?」 「はい。パソコンはこれ一台のみで、書類棚も事務机の中も、カギヤさんに鍵を開けてもらい全部確認しました」
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