【16】氷動の能力

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 アザミが黒沼から聞き出した、現在「極秘データ」があると思われる店を仲介した不動産会社を探しているようだ。 「ん~……あれ?ないスね」  マリネの声を聞いたアザミがやって来た。 「高級質店ノワールが実在するってのは、オヤジが確認したぞ?」  そう言うと、ノワールの外観写真が添付された資料をマリネの手元に置いた。 「ん~それじゃ『ノワールになる前』の、ここの住所に関わっていた不動産会社を探すっス」  マリネは再びキーを打ち続ける。 「……あ!見つけたっス!以前この住所には、輸入インテリアの店があったらしいスね。建物の外観が現在と同じだから、ノワールは居抜き店舗みたいス」  それを聞いたカギヤが補足した。 「居抜き店舗だと、前の持ち主から店舗の設備が揃っている状態で購入するから、一から準備する新築と違って、すぐ営業が開始出来るメリットがあるね」 「黒沼の野郎は、金や時間をかけないで『極秘データ』の別荘もすみやかに用意していたってわけか」  そう言ったアザミに、マリネが印刷した用紙を数枚手渡す。 「ノワールになる前の店の間取り図っス」 「おう。さすがだな」  これがあれば部屋や廊下、階段の配置など店内の構造が、アザミたちにも大体分かるのだ。
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